その1の続き、外郎売を今風の言い方にしてみる、その2です。
*外郎売とは、滑舌トレーニング用に、アナウンサー、声優、役者を目指す方が必ず覚えるといわれているテキストです。
元祖!実演販売
さて、ここから先はいよいよ薬を実際にひとつぶ飲んで、実演するのですが、この話し手(薬売り)は、こんなことを言います。
「さて、この薬、だいいちの奇妙には、舌の回ることが銭ごまが裸足で逃げる」(さて、この薬ですが、第一に不思議な効き目があることに、舌が回る効き目がありまして、これが(素早く回転する)銭独楽が(こりゃかなわんと)裸足で逃げてしまうほど。)
万病に効く外郎売ですが、何故か不思議な事に舌が滑らかになり滑舌が良くなるという作用もあるという筋書きです。
滑舌練習テキストとして有名なだけあって、ここからはどんどん言いづらい言葉が出てきます。それでもなんとなく意味がわかると楽しく滑舌練習できると思いますので、ぜひ、内容を一読してみてくださいね。
では、続きをご覧ください。
外郎売[原文][読み方][今風の言い方]書き起こし続き(その2)
[原文]・[読み方]・[今風の言い方]
の順に並んでいます。
8
イヤ最前より家名の自慢ばかり申しても
御存知ない方には正真の胡椒の丸呑み白河夜船
さらば一粒食べかけて
その気味合いをお目にかけましょう
いやさいぜんより かめいのじまんばかりもうしても
ごぞんじないかたには しょうしんの こしょうのまるのみ しらかわよふね
さらばいちりゅう(ひとつぶ)たべかけて
そのきみあいをおめにかけましょう
いやぁ、さっきから、うちの由緒正しさの自慢ばっかり言ってますが
知らない方にはまったく、コショウを丸飲みするとか白河夜船のようなものですね
というわけで、わたしが(この薬を)一粒飲んで
その効き目をご覧に入れましょう!
白河夜船
【意味】 白河夜船とは、何も気がつかないほどぐっすり眠ること。熟睡していて何も気づかないこと。しらかわよぶね。
9
先ずこの薬を斯様に一粒舌の上にのせまして
腹内へ納めますると
イヤどうも云えぬは、胃、心、肺、肝がすこやかになりて、
薫風喉より来たり、口中微涼を生ずるが如し
魚・鳥・茸・麺類の食い合わせ
その他万病即効在る事神の如し
まずこのくすりをかようにいちりゅう(ひとつぶ)したのうえにのせまして
ふくないへおさめますると
いやどうもいえぬは、い、しん、はい、かんがすこやかになりて
くんぷうのんどよりきたり、こうちゅうびりょうをしょうずるがごとしう
ぎょちょう、きのこ、めんるいのくいあわせ
そのほか、まんびょうそっこうあることかみのごとし
まず、この薬をひとつぶ 舌の上に乗せまして、
飲み込みますと
いや、なんといったらいいのか、胃・心臓・肺臓・肝臓、が健康になって
初夏のような快い風がのどから出るようで、口の中にはそよ風が吹くかのようです
魚、鳥、きのこ、麺類の食い合わせの腹痛や
その他、どんな病にも素早く聴くのですがこれがまるで神の働きのようなのでございます。
10
さて此の薬、第一の奇妙には、
舌の廻る事が銭ごまが裸足で逃げる
ヒョッと舌が廻り出すと矢も盾も堪らぬじゃ
さて、このくすり、だいいちのきみょうには
したのまわることが、ぜにごまがはだしでにげる。
ひょっとしたがまわりだすと、やもたてもたまらぬじゃ
さて、この薬ですが、第一に不思議な効き目があることに、
舌が回る効き目がありまして、これが(素早く回転する)銭独楽が(こりゃかなわんと)裸足で逃げてしまうほど。
ひょっと舌が回り始めると矢も盾もたまらず止まらないのです。
銭独楽(ぜにごま)とは、独楽の一種。
穴開き銭の中心の穴に筆軸をはめ込み、その筆軸に竹製の心棒を通し、底の部分を尖らせる。
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へ続く