外郎売とは
滑舌練習や話し方教室などでおなじみの、外郎売(ういろううり)。
読んだことは無い方も、どこかで聞いたことがあるのではないでしょうか。
外郎売(ういろううり)は、享保3年(1718年)正月、江戸森田座の『若緑勢曾我』(わかみどり いきおい そが)で二代目市川團十郎によって初演された歌舞伎十八番の一つである。 現在は十二代目團十郎が復活させたもの(野口達二脚本)が上演されている。
外郎売はいいことだらけ
上の引用にもあるとおり、俳優や声優、アナウンサー志望の方々は暗唱してなんども繰り返して練習する最初のテキストと言われることがおおく、一般の人にはあまり関係ないように思えますね。
ところがこの外郎売、滑舌の悪いのを直す以外にもたくさんメリットがあるのです。
そこで、なにも目指していない主婦のわたしが、数年間外郎売を続けた理由と効果について書いてみます。
良かったことを箇条書きしてみると、
- 日常会話で訊き返されなくなった
- 朝一番に繰り返すことにより活動的になった
- 話し方がきれいになった
- 顔のたるみが改善した
- 唾液が良く出るようになった
- 口角が上がった
- 顔が引き締まった
- 滑舌の悪さを気にしなくなった
ぱっと思いつくだけでこれだけあります。
また、わたしは定期的に外郎売を録音しているのですが、自分の声を録音して聴くことによって、
- 超早口と吃音がマシになった
- うまく話そうと力まなくなった
- 自分の声に期待しなくなった
- 恥をかくことを(前ほど)恐れなくなった
という効果もありました。
吃音に関してはいまだ治っておらず、ほとんど荒療治。
でも、やってて楽しいからいいやって思っています。
朗読中の自分を観察すると
朗読も好きなのでときどき読んでいますが、そちらも噛み噛みになってしまうときがあります。
でも逆にチャーンス!と思って噛んでいる状態を観察するようになってきました。
なぜ噛み噛みなのかというと、焦っているからです。緊張しているからです。
なぜ緊張してしまうのかというと、うまくやろうとしているからです。
なぜうまくやろうと思ってしまうのかというと、自分はもっとできると期待している(うぬぼれている)からです。
だから、自分に過剰な期待をして、結果的にできない→もっと頑張ろうとする→できなくていやになる→また挑戦するという悪循環にはまっていました。
でも、自分の声や話し方に期待しなくなると肩の力がぬけて、落ち着いてくるのですね。気楽になります。
覚え方のコツ
さて、やってみたいと思った方は、さっそくテキストを手に入れましょう。
テキストや音声は、さまざまなサイトで公開されていますのでお好みで良いと思います。
わたしが印刷して覚えたのはこちらです。
テキストによって微妙にふりがなが違ったりしますが、どれが正解というわけでもないので細かいことは気にせずにれっつらごー。
最初はyoutubeでお手本をききながらテキストを読んで、だんだんと覚えていくというのが良いかと思います。
滑舌・発声トレーニング「外郎売(ういろううり)」 – YouTube
こちらの方は読み方に癖がないので聴きやすいですね。
わたしはテキストを印刷し、もちあるいて一週間ほど毎日延々と外郎売ばかり言いまくっていたらいつの間にか暗記していました。でも、このような暗記が苦手な方は、この口上の「あらすじ」「意味」を把握すると良いかもしれません。
原文冒頭はこうです。
拙者親方と申すは、お立ち会いの中に、
御存知のお方も御座りましょうが、
御江戸を発って二十里上方、
相州小田原一色町をお過ぎなされて、
青物町を登りへおいでなさるれば、
欄干橋虎屋藤衛門、
只今は剃髪致して、円斎となのりまする。
現代訳風に言いなおしてみると、
わたくしの親方というのが、
お集まりのみなさまのなかに知っている方もいらっしゃるかもしれませんが、
東京から西の方へ20里ほどいったところ、
神奈川県小田原市の一色町を通り過ぎて、青物町を上っていきますと、
欄干橋には虎屋籐衛門(とらやとうえもん)というのがおりまして、
現在は出家いたしましたので髪を剃って「円斎(えんさい)」と名乗っております。
こんな感じです。
ざっくりでも、このように意味を把握して、薬売りがお客さんの前で薬の効能を述べているイメージをするとスッと覚えられると思います。
やってみて!
なぜ外郎売をこんなに推すのかというと、自分がやって楽しかったからです。
そして、ある程度つづけたとき、7つの習慣「あなただけの習慣」部門というものに外郎売の習慣を書いて送ったら優勝したという経験があるので、外郎売大好きなのです。
七つの習慣「あなただけの習慣」部門 応募原稿
長年病に苦しみ、社会と断絶した10年を送っていたわたしが『7つの習慣』と出会ったのは2年前のことでした。その当時はこの後の人生を立て直そうと必死で毎日ノートに書き込み続けていました。そんな中で生まれた、わたしだけの習慣があります。
わたしは毎晩、翌朝の起床時間、主人の出勤を見送るまでの用事、片付けておくべき家事などを大学ノートの左ページにタイムテーブルのように書きだして、終わった項目に赤線を引いてOKと書いていくという方法でToDo管理をしています。
その中に、毎朝必ず「外郎売り」という二代目市川團十郎が勤めた歌舞伎十八番の口上を読む時間を設けています。
(中略)
2010年の夏には、幸運にも仕事を得て、自分の稼いだお金で自分の物を買ったり、人生が一変してしまうような芸術家との出会いがありました。「外郎売り」の習慣は、一見なんの関係もないように思えましたが、今思うと現在の自分に到達するまでの鍵となる訓練となっていたのでした。
たったの2年でこれだけの変化をもたらしてくれた『7つの習慣』ですが、まだほんの一部を実践しただけです。これからも、手の届きやすいところに常に置いておき、更に学び続けていきたいと思っています。
録音して誰かに発表しなくちゃいけないわけではないので、試してみてください。それで、あ、これ楽しいわ!と思ったら、ぜひ、続けてみてください。
また、「自分も長年読んでるよ!」という方がいらっしゃったらコメントなどお待ちしております。
わたしはサボりまくりで気が向いたときだけ読んでいるのですが、仲間がいるともっと楽しく続けられる気がします。